デニム用語解説
デニムやジーンズを語る上で、比較的よく使われる用語をまとめておきます。
ステッチ
一言で表現するとステッチとは糸の縫製のことでジーンズ各所に見受けられます。
とくにジーンズだけの世界ではなくて,刺繍や手芸の世界で用いられる意味と同じだと思います。
強いてジーンズの世界で言うなれば,ステッチがあえて注目されるのはリアポケット(ジーンズのお尻のポケット)部分のステッチです。この部分はジーンズメーカーによって異なるデザインをされているため,ジーンズ愛好家はステッチデザインを見て,
「オッ!このジーンズは〇〇だな」
と分ってしまうほどです(笑)。
またジーンズ購入時の裾上げ後もステッチが見受けられますが,こだわりのショップなどであれば,チェーンステッチと呼ばれる特殊なミシンで通常を一手間かけた手法を用いて多くのデニム愛好家が支持していることもあります。
パッチ
ウエストバンドの右後ろ部分にあるラベルがパッチです。一般的にブランド名,サイズ,型式が表記されています。
材質は紙や動物の革が用いられることが多く,パッチの材質によってパッチそのものが経年変化によりエイジングします。そのため,コアなジーンズ愛好家は,パッチの材質にもこだわる傾向があるようです。
私はレザーのパッチが大好きでジーンズの洗濯を繰り返しレザーが激しくエイジングするが溜まりません。
レザー製の場合カウハイド(牛革)が一般的ですが近年では各メーカーから様々なレザーパッチを装着したデニムがリリースされています。ディアスキン(鹿革)やパイソンレザー(蛇革)などもありレザーの特徴によってエイジングが異なるのでパッチに注目してジーンズを穿き込むのも面白いかもしれません。
コインポケット
ジーンズの前右ポケットに付いている小さなポケットがコインポケットです。
ジーンズの5つ目のポケットでジーンズのことを5ポケットパンツと表現することがあります。
別名ウォッチポケットと言われており,ジーンズが発明された当初,腕時計たるものがなく,当時は懐中時計を用いており,懐中時計を入れておくポケットだと言われています。
私的には当時のカウボーイ達は時計より小銭をいれていたのか,もしくはライター(ジッポーライター)を入れていたのではないかと思います。ヴィンテージジーンズの多くがジッポーの形状にアタリの出たものが多いからそのように個人的には推測しています。
どちらにしろコインポケットの用途は今日では少なく,ジーンズのエイジングを語る上でもあまり重要視されていないように思います。昔の名残いわば人間の尾骶骨みたいなものでしょうか(笑)。
リベット
ポケットの端など力のかかる部分を補強するために打ち込まれた鋲のことをリベットと言います。金属製で最近は主にアルミが素材として用いられていますが、誕生初期は鉄や銅、ニッケルの合金が使われていました。現在はカンヌキと呼ばれるバータック(ジグザグのステッチ)が主流になっています。
リーバイス・ストラウス社がジーンズのパイオニアとして広く普及したのはその耐久性が評判となったことですが,耐久性の裏側にはリベットの存在が大きいでしょう。
実際に車などが普及してからリベットで車のシートなどを傷つけないようジーンズ裏側からリベットを打ち込む手法などが開発され,それを隠しリベットとも呼んでいます。ファッションデザインだけではなく,ジーンズの機能向上で用いられている地味ですが,非常に有難いパーツなのです。
セルビッチ
現行モデルのジーンズにはセルビッチは装着されていません。理由としては縫製技術が大きく進歩したためです。セルビッチの従来の役割は旧型織機でデニム地を織る際に、 生地末端のほつれをなくす役割を果たしていました。
デニム愛好家はヴィンテージのレプリカデニムを穿き込むことが多く,アタリでセルヴィッチが浮き出てくることを好むため重要なパーツになっています。お洒落でロールアップして見せたがる人も多いようですが。失われた技術でモノ造りでジーンズを縫製するのであればセルビッチも失われた技術になるのかもしれません。
アタリ
ヒゲとはジーンズの特定の部分のアタリを示す言葉で、股から外に放射線状に広がったアタリのことです。見た目が動物のヒゲのように見えたことから、ヒゲと呼ばれるようになりました。
また、この表現はデニムだけでなく、レザージャケットなど革製品に用いることから、使い込んで傷んだ部分とそうでない部分との比較的な表現として広義の意味で用いられることもしばしばあるようです。
【用語使用実例】
・「アタリが出てきた」
・「セルビッチにアタリが出てきた。」
等。
経年変化によるエイジングを表現する際に用いることが多いようです。
ヒゲ
ヒゲとはジーンズの特定の部分のアタリを示す言葉で、股から外に放射線状に広がったアタリのことです。見た目が動物のヒゲのように見えたことから、ヒゲと呼ばれるようになりました。
ジーンズのエイジングを評価するときには、このヒゲが如何に明確に出来ているかが、重要になってきます。ここに関しては、また、後日詳しく解説しようと思うのですが、下記のポイントが美しいヒゲができるかどうかを決定する要因となります。
【美しいヒゲができるポイント】
①頻繁に動くこと。
②生デニムのジーンズ購入後9ヶ月で2回の洗濯がベスト
洗濯に関しては私の長年の経験上です。皺が放射線状に股上からサイドまでくっきりと跡が残ってから洗濯すると美しいヒゲがジーンズに刻み込まれます。
タテ落ち
デニム生地が縦に色落ちしていくことをタテ落ちと表現します。ジーンズを長い間、愛着を持って穿き続けるとこのようなタテ落ちのエイジングが発生します。
デニム愛好家の多くの方が、このタテ落ちをいかに美しく作るかということに熱中することが多いのも事実です。事実の通りジーンズのエイジングの評価ではタテ落ちの具合が大きな要素となります。
【余談】
余談ではありますが、ジーンズが今日のようにカジュアル・ウェアとして認識される以前は、労働着としてみなされており、色落ちをすることは製品の劣化だと捉えられている時期がありました。インディゴで染め上げた製品は必ずしも色落ちを起こしてしまいますが、当時少しでも色落ちを遅らせようとしてジーンズメーカーは試行錯誤を繰り返していました。そうやって出来上がったのは左綾デニムです。右綾、左綾とはデニム生地の織り目の方向のことですが、リーバイスなどは通常右綾デニムです。ラングラーやLeeなどは左綾デニムをリリースしたパイオニア的存在として知られています。どちらにしろ、色落ちは発生してしまいます。明確な色落ちが出るのがで右綾デニムあり、柔らかい風合いに仕上がるが左綾デニムです。
蜂の巣
蜂の巣はジーンズの膝裏に出現する,アタリのことです。アタリのコントラストが蜂の巣のようなっているため,このような名称で呼ばれます。
アタリは長い間穿き続けると必然的に出現してきますが,蜂の巣は必ずしも経年変化により出現するとは言い切れません。私の経験上,ヘビーオンスデニムと言われるデニム生地の分厚いデニムに出現することが多いと経験的に思います。デニムの生地の厚さを通常”オンス”と呼ばれる記号で表記しますが(表記については後日解説),一般的に販売されているジーンズの多くが,10オンス~14オンスであることが多いので,ヘビーオンスデニムとは,16オンス以上であると認識しています。生地が分厚いと生地の目も粗く,インディゴの色素沈着が生地の薄いデニムが弱く,蜂の巣を比較的造りやすいからだと思うのが私の見解です。












